新型コロナウイルスが猫から猫に感染することが実験結果で分かったので追記しておきます。
ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(NEJM)は世界で最も長い歴史をもつ権威ある医学雑誌です。
そのNEJMで
・新型コロナウイルスは猫から猫に感染する
・しかし症状が出ない可能性がある
・猫から人に感染する証拠はまだない
との発表がありました。
この研究は東京大学医科学研究所が米国ウィスコンシン大学などと共同して行いました。
3ペアの猫を1メート四方のおりに2匹づつ入れ、1匹の猫にだけ人から採取した新型コロナウイルスを接種させて意図的にウイルスを感染させるという方法です。3日経ったところ、3ペア共におりの中の片方の猫からも新型コロナウイルスに感染したことが確認された、ということです。
実験結果からは新型コロナウイルスは猫の呼吸器で増殖し、猫同士の接触感染によるものであることが判明したのです。しかし、体温の異常などCOVID-19の目立った症状は出ていなかったようです。
4月17日配信のキュティア通信ではアメリカ獣医師会(AVMA:American Veterinary Medical Association)のレポートを紹介させていただきました。その段階で、アメリカではペット自体が新型コロナウイルスに感染したという事例はありませんでした。しかし、今回の研究により猫の間では感染することが分かったわけです。
中世のヨーロッパではペストが大流行し1億人もの人間が死亡したとも伝えられています。ペストを抑えるために猫が大活躍したようですが、猫ももちろんペスト感染しています。
現在の日本ではペスト菌感染の可能性は極めて低いですが、今でもペストは存在しています。世界でみると猫がペスト菌に感染し発症したり、人間が猫からペストをもらうケースもありえます。
新型コロナウイルスは人間から猫、猫から猫に感染することが確実となったことから、先ずは猫同士の広がりを抑えるためにも、飼い猫はなるべく外に出さないようにするのが良さそうです。
新型コロナウイルスが飼い主から猫に感染
アメリカニューヨーク州で、飼い主から2匹の猫が新型コロナウイルスに感染したことが確認されました。
2020年4月17日配信したメールマガジン「キュティア通信Vol.114」では、新型コロナウィルスがペットに感染した事実はない、としていたアメリカ獣医師会が、2020年4月22日付けで飼い主から2匹の猫への感染が確認されたことを発表しています。
アメリカ獣医師会(AVMA)の報告
PETS IN HOMES WITH OWNERS WITH COVID-19
On April 22, the CDC announced the first National Veterinary Services Laboratories (NVSL)-confirmed cases of SARS-CoV-2 infection in two pet cats. These are the first pets in the United States to test positive for SARS-CoV-2. Currently we have no information that suggests that pets might be a source of infection for people with the coronavirus that causes COVID-19.
4月22日、NVSL(National Veterinary Services Laboratories:国立獣医サービス研究所)がペットとして飼われている2匹の猫が新型コロナウイルスに感染していることを確認した。アメリカにおける感染の最初のケースである。現在のところではペットから人に感染する情報はない。
引用:アメリカ獣医師会
キュティア通信Vol.114」2020年4月17日配信の内容
ショップを定期的にご利用いただいている埼玉県の飼い主様から「新型コロナウイルスが犬や猫に感染しないか心配です」とのお問い合わせいただきました。2匹のチワワ、猫1匹と一緒に暮らしています。
たいした情報が得られない時代遅れの日本獣医師会のホームページ。これでは話にならないと、洗練されたデザインのアメリカ獣医師会(AVMA:American Veterinary Medical Association)のホームページで知人と一緒に調べてみることになりました。獣医学の視点からCOVID-19について情報がまとめられています。
アメリカでは事例がない
アメリカではペット自体が新型コロナウイルスに感染したという事例はまだ報告されていません
ペットと人の相互間
ゆえに新型コロナウイルスが「ペットと人の相互間」で感染したという事例もありません
フランスの事例
フランスでは20人の獣医学生が12匹の犬・9匹の猫との共同生活で、2人の学生が新型コロナウイルスに陽性を示した。しかしPCR検査ではどの犬・猫も陽性とはならなかった
香港での感染例
ペットに感染しているという検査結果が出ているのは香港での2匹の犬と1匹の猫だけである
結論として
結論としてペットが新型コロナウイルスの感染拡大に関与しているという証拠は今のところないようです。これはWHO(世界保健機関)も同様の見解です。ただし、ペットではありませんがニューヨーク、ブルックス動物園のトラ1頭が飼育員から新型コロナウイルスに感染した事例はあるため、「人と動物」という点ではまだまだ未知な事があるようです。
アメリカ獣医会のアドバイス
最後に、アメリカ獣医学会ではペットも人も新型コロナウイルスから守るために次のようなことを推奨しています
衛生に気をつける
ペットの食事、世話等の前後には手をよく洗うなどの衛生を心掛ける
ペットが陽性になったら
もしペットが陽性となった場合は人との接触を遮断するのと同様に、ペットも近づけないようにする
サービス犬との接触は
サービス犬(盲導犬・介助犬など)と接するときはマスクを着用し、むやみに顔を近づけない。アメリカでは日本のようにこまめに手を洗ったり、マスクを付ける習慣がないですからね。
※アメリカ獣医師会の内容は2020年4月12日現在です。
出典元:アメリカ獣医師会
https://www.avma.org/resources-tools/animal-health-and-welfare/covid-19/sars-cov-2-animals-including-pets
※注:画像の猫と本文は関係ありません
キュティアショップ
代表 猪熊洋文