YouTubeが始まって16年。当初は1・2度観て「ふーん」、何でこんなのがあるのだろうと・・・。ところが今はいうと、パソコンでの作業中にはヘッドホンからお気に入りのBGMが流れていることが多々あります。YouTube様です。
ペット系の動画もよく観ます。先日見つけた作品は多頭飼いのトイプードルの「やきもち妬き」。思わず笑ってしまいました。以来、時々我が家の4匹の猫の様子が気になります。では本当に犬・猫たちにも「やきもち妬き」があるのかどうか、今回はそんな話です。
実験結果が物語るものは
カリフォルニア大学の心理学者ハリス氏らが、36匹の犬を対象にある実験を行いました。
飼い主が愛犬のことをわざと無視して、
・動くおもちゃの犬のぬいぐるみ
・ハロウィンのカボチャを模したバケツ
・絵本
の3つで遊んで見せ、犬の行動を観察するというものです。
その結果、飼い主がぬいぐるみと遊ぶことに対し78%もの犬が飼い主を押したり触ったりする反応を示したそうです。バケツに対して同じような反応をした犬は42%、絵本には22%しか反応しませんでした。
また86%もの犬が、ぬいぐるみに対して実際の犬と同じようにお尻のにおいを嗅ぐという行動を取り、25%の犬がぬいぐるみに噛みつきました。一方でバケツと本に噛みついた犬は1匹しかいなかったそうです。これは犬たちが、自身のライバルと捉えた物に対して「やきもちを妬いた」と言える結果ではないかと考えられます。
想像して嫉妬する!
別な興味深い研究もあります。オークランド大学のバストス氏らは18匹の犬をリードで繋いだ状態で、「リアルな犬のぬいぐるみ」と、「フリース素材の円筒状のオブジェ」のいずれかを飼い主が構う素振りを見せる実験を行いました。
まず飼い主が犬のぬいぐるみを構う素振りを見せたあと、犬とぬいぐるみの間についたてを置いて犬からぬいぐるみが見えない状態を作ります。するとぬいぐるみ自体が見えない状態であっても、犬は飼い主がぬいぐるみを構っていると想像し、強くリードを引っ張って邪魔をしに行こうとしたそうです。
円筒状のオブジェでも同様に実験を行ったところ、犬がリードを引っ張る力はぬいぐるみの時よりもはるかに弱かったそうです。
この実験によって、犬たちがオブジェに対しては嫉妬心を抱いていなかったこと、実際にライバルの姿が見えていない状態であっても、想像で嫉妬心を抱くということが分かりました。
どうやら猫は嫉妬心は弱いのか
では、猫はどうなのでしょうか。京都大学でぬいぐるみと毛皮のクッションを使いハリス氏と同様の実験を猫に対して行いました。その結果、飼い主がネコのぬいぐるみを撫でた時の方がクッションを撫でた時よりも強い反応を示したものの、犬のように明確にやきもち妬きと断定できる行動は起こさなかったそうです。
仲間意識やライバル意識があるから
キュティア老犬クリニックが併設しているしつけ教室ドッグベースキャンプのトレーナーと話してみました。2頭目・3頭目を迎え多頭飼いになったときのしつけレッスンの依頼は結構多いようです。多頭になる前は飼い主さんからの注目をすべて自分だけで受けていたわけです。
トレーナー曰くは、どうやら2段階のステップがあるようです。新しい犬を迎えたばかりの時は先住犬もよそ者が来た、ということで行動変化が起きたりするのですが、これは「警戒心」の現れ。次のステップは新しい犬を仲間として受け入れ、様々な感情を持つことでライバル意識も芽生え「やきもちを妬く」のではないでしょうか。
つまり「やきもち」は仲間意識やライバル意識があるからこそのものなのですね。これは人間と同じです!
参考記事:
ロイター
https://jp.reuters.com/article/dog-idJPKBN0FU01L20140725/
週刊ダイヤモンドオンライン
https://diamond.jp/articles/-/268994/
UCO Press
https://www.uco.es/ucopress/ojs/index.php/pet/article/view/12176/
ドッグベースキャンプ
多頭飼いをする際の先住犬との関係は?
https://dogbc.jp/stuffblog/2021-07-21/
キュティアショップ
代表 猪熊洋文