前回に続いて猫の話題です。
猫は人と暮らしていく過程で、鳴くことで飼い主さんの反応を見ながら人間とのコミュニケーションの取り方を発達させてきた、と考えられています。
子猫のように鳴く知恵
猫が「ニャー」・「ニャー」と甘えた声で鳴くと、食い入るように観てたテレビからさっと離れてフードをあげてしまう飼い主さん。鳴けば夜中でも飛び起きて名前を呼びながらフードや水をあげて世話をしている飼い主さん。なぜこんなことになってしまうのでしょうか。
これは猫は「子猫のように鳴けば人間が来て、ご飯を持ってきてくれる」との反応を見て学習した賜物だと言われています。子猫は母猫に対して甘えた声で鳴きますが、大人の猫同士では子猫のように鳴くことはありません。
甘えじょうず
鳴き声だけではありません。テレワークで自宅のパソコンで仕事をしていると、猫がわざわざキーボードに乗ってきて「ネコハラ」。新聞を広げて読んでいれば新聞の上に横たわってくることも多々あります。
実はこれも「かまってほしい」行動の現れのようです。たいていの場合、飼い主さんは「困ったもんだな〜」と思いながらも、仕事を中断し猫を抱いてあやします。また、新聞を読むことはあきらめ、猫を撫でることに専念してしまうこともあるかもしれません。
猫は鳴き声だけでなく、行動の面でも「どうすれば飼い主さんはかまってくれるか?」といろいろ試した結果、最も効果的な方法を見つけ出したようです。
では人も知恵をしぼって・・・
ならばこの習性を逆に利用すれば、どんなに鳴いても、どんなに邪魔をされても一切無視をすれば、猫はやらなくなるということがわかります。夜中に猫が甘えた声で鳴いても起きない、パソコンのキーボードに乗っても知らんぷりをする。反応しなければ猫はあきらめてやらなくなるはずです。
とは言っても、実際にはなかなか無視をすることができません。「あ〜あ〜、寝不足だ〜」といいながらも、多くの飼い主さんは猫のために動いてしまうでしょう。夜中にお腹がすく猫のために自動給餌器を買う飼い主さんもいます。仕事中も寂しくないようにキーボードの横に猫のベッドを置いたりと、眠くても忙しくても猫のためならばと工夫をすることもあまり苦にならないようです。
人の様子もみている
しかし猫は人間に何かしてくれと要求するばかりではない、と思わせることもあります。飼い主や家族に元気がない日は、何かを察してさりげなく猫が寄りそってくれることがあるとも聞きます。我が家の猫には見受けられないのですが・・・・。
よく「犬は人につき、猫は家につく」と言われます。でも実際は猫も人につき、犬とは違った関り方で人間と生活している動物だと思うのです。
参考資料:
「猫が幸せならばそれでいい」入交眞巳著 小学館
「なぜネコは伴侶動物になりえたのか 比較認知科学的観点からのネコ家畜化の考察」
齋藤慈子 動物心理学研究 第68巻第1号
https://www.jstage.jst.go.jp/article/janip/68/1/68_68.1.8/_pdf/-char/ja
キュティアショップ
代表 猪熊洋文