犬・猫の腫瘍性疾患が増加しています。現在がん(悪性腫瘍)は犬・猫の死亡原因のトップでシニア犬の約半数、シニア猫の3分の1はがんで亡くなっています。適切な栄養摂取による体力と免疫力の維持が予防には大事です

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更新日 2021/01/07

シニア犬・猫の免疫力を高めて「がん」を予防

免疫力のイメージイラスト

ペットの平均寿命が延び、元気なシニア犬・猫が増えるとともに、犬・猫の腫瘍性疾患が増加しています。現在、がん(悪性腫瘍)は犬・猫の死亡原因のトップで、シニア犬の約半数、シニア猫の3分の1はがんで亡くなっています。シニア期に入ったら、定期的に健康診断を行い、がんの早期発見、早期治療に努めることが大切です。

がん治療では、外科手術や抗がん剤治療など、がんそのものをたたく治療に目が向きがちです。しかし、これらの治療を成功させるためには、がんに負けない体づくり、すなわち、適切な栄養摂取による体力と免疫力の維持も同時に行うことが重要です。その結果、がんによる衰弱を防ぐだけでなく、がん治療の副作用も軽減され、愛犬・愛猫の生活の質(QOL)を大いに高めることができます。

「がん」の食事管理

がんになると、十分な栄養を摂取しているのにどんどん痩せてくることがあります。これは「がん性悪液質(あくえきしつ)」と呼ばれる状態です。がん細胞が、成長するのに必要なエネルギーを宿主の動物から奪い取ってしまうため、動物は栄養失調となり体重が減少して衰弱します。したがって、がん食事療法のポイントは、「がんに栄養を奪われずに、自身の体を元気に保つ」ことです。

糖質の制限

がん細胞はブドウ糖が大好きで、これをエネルギー源にして成長します。その際、副産物として大量の乳酸を作ります。体は奪われたブドウ糖の代わりに、乳酸やアミノ酸からエネルギーを作らねばなりません。これらは、ブドウ糖に比べてエネルギー効率が非常に悪い材料のため、得られるエネルギー以上のエネルギーを消費してしまいます。したがって、がん細胞のエサとなる糖質は制限する必要があります。

タンパク質はしっかり摂る

がん細胞はエネルギー源として、アミノ酸を利用することもあります。アミノ酸の供給が不足すると、がん細胞は動物の体から必要なアミノ酸を奪い取ります。アミノ酸不足は、筋肉量の減少や免疫機能の低下につながります。つまり、がん動物の体力維持のためには、良質で利用性の高いタンパク質を過不足なく与える必要があります。とくに、アルギニンやグルタミンは、免疫機能を高め、がん細胞の増殖を抑制するといわれており、積極的に摂りたいアミノ酸です。

脂質の量を増やす

がん細胞は、脂肪をエネルギー源として利用することが苦手だといわれています。そこで、食事中の炭水化物を減らして脂肪に置き換えれば、動物自身のカロリーを保ちつつ、がん細胞を兵糧攻めにできると考えられます。また、オメガ3脂肪酸(DHAやEPA)には、がん細胞の増殖を抑制し、免疫力を高める作用が認められているため、積極的に摂取することが望ましいでしょう。

免疫力の維持に効果があるサプリメントの利用

がんに負けないためには、自身の免疫力をできるだけ高く維持することが大切です。免疫力を高め、がん細胞を縮小させる効果が期待される食品が多数報告されています。食事で摂りづらい場合には、サプリメントを使うのも有効です。ただし、がんの予防や治療に効果があると考えられているサプリメントでも、がんの種類や治療の状況によっては、これらが治療の妨げになることや、かえってがんを増殖させてしまう可能性も心配されていますので、注意が必要です。

抗がん作用が期待されるサプリメント

マルチビタミン・ミネラル

カロテノイド、ビタミンC、ビタミンE、コエンザイムQ10、セレン、亜鉛などがあります。抗酸化ビタミンといわれるカロテノイド、ビタミンC、ビタミンE、コエンザイムQ10は、体内で発生する活性酸素を除去することで、がんや老化に対する予防効果が期待されています。セレンは抗酸化酵素の活性に必須のミネラル生体の抗酸化力を高めてくれます。また、亜鉛は免疫機能に関わる多くの酵素の働きに必要なミネラルです。

※注意点:抗がん剤治療や放射線治療は、どちらも活性酸素を利用してがん細胞を殺す治療であるため、これらの治療中に抗酸化性のサプリメントを過剰に摂取すると治療効果が下がるとの指摘もあります。また、亜鉛を過剰に摂取するとセレンの吸収が阻害され、発がんリスクが高まる可能性があります。ビタミン・ミネラルは単独での摂取や偏った過剰摂取ではなく、バランスよく複合したサプリメントを適量用いるのがいいでしょう。

β‐グルカンなどの抗腫瘍多糖

アガリクス(別名:ヒメマツタケ)、ハナビラタケ、マイタケD‐フラクション、メシマコブ、ヤマブシタケ、冬虫夏草などです。キノコ類の抗がん作用は古くから知られ、その研究から抗がん活性をもった多糖が多数発見されました。β‐グルカンと総称されるこれらの多糖体は、腸管免疫を活性化し、それによって全身の免疫細胞の働きが高まり、がん細胞を排除すると考えられています。

※注意点:悪性リンパ腫などで、免疫増強作用をもつサプリメントを使用すると、腫瘍を悪化させる危険性があるといわれています。また、自己免疫疾患や炎症性疾患がある動物では、これらの持病が悪化する場合があるので注意が必要です。

オメガ3系脂肪酸(DHA、EPAなど)

脂肪酸は種類によってがん細胞に対する作用が異なります。リノール酸やγリノレン酸のようなオメガ6系脂肪酸はがん細胞の増殖を促進し、ドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)などのオメガ3系脂肪酸はがん細胞の増殖を抑制する効果があるといわれています。とくにDHAは、腫瘍血管の新生を阻害して、がん細胞にアポトーシス(細胞の自殺)を引き起こすことが示されています。また、抗がん剤の働きを助けて副作用を弱める効果、がん性悪液質を改善する効果なども報告されています。

※注意点:オメガ3脂肪酸は魚に豊富に含まれますが、長期保存や加熱処理により酸化されやすいため、サプリメントで摂取するのが効果的です。ただし、過剰に摂取すると血が止まりにくくなる危険性があります。そのため、血小板が減少しやすい抗がん剤治療中や外科手術の時には注意が必要です。

サメ軟骨

サメ軟骨には、コンドロイチン硫酸などの幾つかのグリコサミノグリカンが存在し、これらが組み合わさってがんの成長を止めたり、転移を予防したりすると考えられています。

※注意点:サメ脂質には血を止まりにくくする可能性があるので、手術前後の使用には注意が必要です。また、カルシウムを多く含むため、高カルシウム血症を起こす可能性があります。

ポリフェノール類

フラボノイド、イチョウ葉エキスなど。植物に含まれる様々なポリフェノールには、強い抗酸化作用があり、がん悪化の原因となる活性酸素を除去する働きがあります。他にもがん細胞の増殖抑制、転移の予防、抗炎症作用などの様々な抗がん作用が報告されています。

注意点:フラボノイドには血を固まりにくくさせる副作用があります。そのため、血小板が減少しやすい抗がん剤治療中や外科手術の時には注意が必要です。

紅豆杉・タヒボなどアポトーシス誘導類

アポトーシスとは、遺伝子のプログラムにより細胞が自ら死滅することです。紅豆杉やタヒボなどはアポトーシスを誘発すると言われています。がん細胞をアポトーシスに導く力があれば、がんを縮小させる効果が期待でき、抗がん剤治療に併用することや、抗がん剤の代わりに使用できる可能性があります。

注意点:多くの抗がん剤も、がん細胞をアポトーシスで殺します。しかし、アポトーシス誘導はがん細胞だけに起こるのではなく、増殖中の正常細胞にも害が及びます。このタイプのサプリメントも、過剰に使用すれば同様の副作用が起こると思われます。

食物繊維

水溶性食物繊維、キチン・キトサンなどです。食物繊維には、乳酸菌のような善玉菌を増やしたり、がん予防効果がある脂肪酸(乳酸・酪酸など)を増やしたりする効果があるといわれています。腸内環境を改善することは、体の解毒機能を高め、また免疫力を高めるうえで重要です。

※注意点:いろいろなものを吸着する性質があるため、亜鉛などの有用なミネラルや服薬中の医薬品の吸収を妨げる可能性もあります。

免疫力・QOLアップのサプリメント商品ページ
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