PFCバランスって何?
ペットフードにPFCバランスってあるんですか?
こんなお問い合わせをいただきました。半分くらいを手作りご飯にしようと考えているそうです。
PFCバランスとは、三大栄養素である
P=Protein(タンパク質)
F=Fat(脂質)
C=Carbohydrate(炭水化物)
のそれぞれが食事内容の割合としてどれくらいの比率になっているのかを表します。
厚生労働省ではエネルギー産生栄養素バランスを発表しています。これは、タンパク質、脂質、炭水化物が総エネルギー摂取量に占めるべき割合のこと。P(タンパク質)を13〜20%、F(脂質)を20〜30%、C(炭水化物)を50〜65%との構成比率になっています。そして、P(タンパク質)とC(炭水化物)は1g当たり4kcal、F(脂質)は1g当たり9kcalとして計算します。
例えば、全体で800kcalのエネルギーを摂ることで計算してみると、
タンパク質800kcalX20%=160kcal=40g
脂質 800kcalX20%=160kcal=17.8g
炭水化物 800kcalX60%=480kcal=120g
ということになります。
PFCやエネルギー産生栄養素バランスは、健康的な体を維持したり、ダイエットをしたり、ジムなどで体を鍛えてみよう、といった時などに特に注目される数値なんです。では、ペットフードではどうなるのでしょうか?
犬・猫の食生活にPFCバランスはない
結論から言うとペットフードにPFCという考え方はないのです。ペットフードの栄養基準はアメリカのAAFCO(全米飼料検査官協会)、FEDIAF(欧州ペットフード工業会連合)があり、日本ではAAFCOのガイドラインを反映させています。
2016年にAAFCOはガイドラインを更新しました。それによりますと、
成犬
タンパク質 最低18.0%
脂質 最低5.5%
成猫
タンパク質 最低26.0%
脂質 最低9.0%
となっています。
タンパク質と脂質の最低値だけをガイドラインとして出しているだけで、三大栄養素としての炭水化物についての言及は無いんですね。なぜなら、現在のペットフード研究では、犬・猫は一定量の炭水化物を必要とはしていないからなんです。
犬も猫も生い立ちと食性を考えるとうなづけます。
オオカミは集団で狩り
祖先はオオカミといわれている犬。オオカミは基本的に群れを作って生活し、チームプレイによる狩りでは自分達より大きな獲物をしとめます。獲物にありつけた時には生肉を食べれるだけ食べてお腹を満たします。次に食事にありつけるが3日後あるいは5日後になるかも知れません。
犬は人間と一緒に暮らすようになった1.5万年前ごろから、人間から穀類などの炭水化物を与えられ、口にするようになってきたようです。肉食に加えて雑食の一面も持つように慣らされてきました。
猫は一人で行動
猫は単独行動がほとんどです。自分一人でも獲れる野ねずみなどを捕食しては、丸ごと食べてきました。野ネズミの消化器官の中には穀物が残っていた可能性があります。そのような時に自然に炭水化物を摂取していました。
犬も猫も求めて炭水化物を摂ってるわけではありません。
炭水化物がどれくらいか計算してみよう
ペットフードは、たんぱく質・脂肪・繊維・灰分・水分の5つの成分を表示することがルールになっています。人の食品の表示義務の1つである炭水化物はペットフードには表示されていません。愛犬・愛猫に与えているフードの炭水化物の量を調べるのであれば、下記で計算できます。
炭水化物=100-(たんぱく質+脂質+灰分+水分)
試しに計算してみてください。意外に炭水化物の量が多いと思われるかもしれません。これでPFCのそれぞれの成分値が揃いました。しかし、人のPFCバランスと同じように考えることはできません。
なぜ、本来はほぼゼロでも良い炭水化物がペットフードに入っているのか、またの機会にお話しできたらと思います。
キュティアショップ
代表 猪熊洋文